ビルの前に大きな門松が立ちはじめました。
どんなことがあっても日本の年末は、門松、注連縄、もちつき、御節料理と伝統の行事が粛粛と行われます。たきぐちではベランダとエアコンの掃除も終わり、展示品は押入れでしばらくお休み。
本当にあっという間に過ぎ去った一年でしたが、「雨も嵐」も、お店に届くことなく、平穏無事に終わりました。
色々のことに感謝です。今日からお休みします。
2009年12月27日
今年は百年に一度の不況と叫ばれていましたが、命まで取られることではあるまいし、騒ぎすぎだと感じます。
私の好きな塩野七生さんの本によれば、ローマ人はどんな苦境に会ってもけっして挫けず、常に前向きに進んだそうです。
来年は2010年で、ちょうど良い節目。ここらで一休みして、次の10年と言わず、亀と並んでゆっくり次の100年に向かって進みたいものです。
後期高齢者の仲間入りを記念して、20年使っていたベットを買い替えました。寝心地満点、来年もきっといい年であると信じています。果報は寝て待て。
ホームぺージ見ていただいている皆様のご多幸お祈りします。
2009年12月24日
たきぐち店は12月28日(月)から1月6日(水)までお休み。冬ごもりします。
準備万端整いました。お正月の食料は西山商店に注文し28日に届きます、本も丸善より届きました。「自作を語る、1,2,3」(山崎豊子著)、「無量の光 上下」(津本陽著)などなど。大晦日の紅白も、元日、2、3日のニューイヤー駅伝、箱根駅伝も思い切り楽しみます。
長く生きてきたお蔭です。今40代、50代の人は、ものすごく忙しい日々をお過ごしのことと思いますが、いつか、静かに過ごせる日が来ます。それを楽しみに頑張ってください。
2009年12月23日
海を見に行ってきました。
今年最後の展示会も無事終わり、自分へのボーナス。自己投資です。
ユーラシア大陸の最西端のポルトガルではないのですが、日本の西の果て、その先は海の平戸に、お店を臨時休業して行ってきました。
美味しい魚と海風に大満足。途中、車窓から雪まで見えて、体中の細胞が生き返りました。平戸は何かとお宝の多いところです。今年までがオランダ年とのことで、オランダの国旗がはためき、海沿いの一等地では、オランダ商館の復元工事が進んでいました。
松浦史料博物館の所蔵品の立派なこと。いつかまた時間を見つけて、歴史ある平戸を訪ねたいと思っています。
2009年12月18日
旧満州で生まれ育ったせいで、餃子が大好きです。
毎年、お正月が近くなるとプロの料理人が家に来て餃子を作っていました。器用な手つきで餡を包む様子を、飽かず眺めていたことを思い出します。餃子を箱一杯に並べ終わると、そのまま戸外に出して瞬間冷凍。
極寒の外の景色を二重窓越しに眺めながら、ストーブで暖かく守られた室内で、沢山のお湯を沸かして水餃子にして食べたものです。現在、日本中で食べられている餃子は、旧満州にゆかりのあった人たちが、戦後日本に伝えたものだという話を聞いたことがあります。かつてあの土地に暮らした者の一人として、餃子は日本の食文化に大きく貢献したと胸を張っていいたい気持ちです。
当時、我が家の仕事を手伝ってくれていた地元の人に、「今日は思いっきり食べてくれ」と勧めていた父の幸せそうな顔を思い出します。
なんだか、今夜も餃子が食べたくなってきました。
2009年12月16日
最近、新聞でボーナスの使い方のアンケート結果が発表されていました。それによると「貯金」が一番とのこと。毎度の事ながら、知恵のない話で、がっかりしてしまいます。
幸運にも今年、ボーナスを貰うことができた若い人たちに、老婆心から一つだけアドバイス。
ボーナスは、ぜひ自己投資にお使いください。
私が長年の仕事を通してお会いしてきた素敵な方々は、皆さんお金を上手にお使いになって、毎日を生き生きと暮らしていらっしゃいます。生活が充実していれば病気にかかる暇もないのかもしれません。定年退職後、お金も時間もあるのに、ただ漫然と日々を過ごすだけの人生にならないよう、若い時から生きたお金を使う訓練をしておいてください。
まずは何に投資するのか、考えてみてはいかがでしょう。自分自身を見つめてください。しっかり知恵を絞り、未来の自分を思い描いてください。100年に一度の不況と言われる時代だからこそ、実力をつけるチャンスは、今この時。貯金をしてる場合でないですよ。
2009年12月13日
いつもは美容室と病院の待合室で見ることにしている「家庭画報」ですが、新年号だけは必ず購入します。ファッションだけでなく、お茶、歌舞伎、季節のしつらえなどが、美しい写真と堂々としたレイアウトで紹介されています。今のような時代に、雅な世界を堪能させてくれる有り難い雑誌です。この雑誌を見るたびに、美的センスを失っていない人が日本にも沢山いることを知って嬉しい気持ちになります。
今年の新年号に「新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事」という俵万智選の歌が掲載されていました。実はお正月飾りの扇子にこの歌が書かれていたのですが、「いやしけ吉事」の読みと意味がよく分からなくて以前から気になっていました。
今回、ようやくその意味が分かりました。読みは「いやしけよごと」。「良いことが(今日降っている雪のように積み)重なりますように」だそうです。素敵な言葉ですね。
2009年12月12日
10年日記を書き始めて15年になります。子供のときから日記は、時々には書いていましたが、長続きすることはありませんでした。
今使っているのは、石原出版社の10年日記。1ページに10年分が書けるようになっていて、1日分は4行。字数にして140字くらいです。ほんの少しだから続けられます。2,3ヶ月前のことでも、なかなか思い出せませんが、この日記があれば少し読んだだけでその時のことを鮮明に思い出すことができます。
その内容といえば、別に秘めた想いを綴るでもなく、言いたい時に、言いたいことを言っているだけで、そう変わりばえはしないのですが、この店主日記が続いているいるのも10年日記のおかげかもしれません。
2009年12月11日
来年のことを言うと鬼が笑うといいますが、あまりにも嬉しい出来事なのでご報告します。
ぜひお店で紹介したいと思っていた持丸房子さんと山下玉枝さんの人形を展示即売させていただけることになりました。長年憧れていたお二人の作品は、窯開きの時に行って買う以外は手に入らないのです。
それもこれもホームページ開設のおかげです。お店のことを言葉で説明するより、このホームページを見てご判断いただきたいと申し上げていましたところ、このほど快諾をいただきました。
お二人は、30年以上前からの憧れの作家さんです。案内状の写真撮りのために届いた一体を、飽かず眺めて、楽しんでいるところです。
2009年12月7日
古くは道祖神、猿田彦、ヤタガラス等々。
生きて行く上で道案内があれば助かることが少なくありません。私の読書の道案内は「本の話」(文春)、「波」(新潮社)といった出版社の新刊案内。
書店に行くと、ついあれもこれもと月の本代の予算をオーバーしてしまうので、案内書を見て電話で注文し宅配で届けてもらうようにしています。そんな買い方をする上で新刊案内は欠かせません。
最近新書で面白そうな本を見つけました。日本とは失われた文化伝統を保存する博物館のような国であるという、島田雅彦さんの『徒然草 in USA-自滅するアメリカ 堕落する日本』 (新潮新書))。
それと、「本の話」で紹介されていた『「阿修羅像」の真実』(長部日出雄著)と『謎の渡来人 秦氏』(水谷千秋著)の2冊も合わせて予約しました。読書は、それ自体が楽しい経験ですから、仕事に役立てようという目的あってのことではありませんが、本から教えられたことが、仕事の支えになっているのも事実。
そうやって少しずつ積み上げてきた知識や経験を生かし、私自身がお客様の良き道案内人となれればと願っています。
2009年12月5日
その場しのぎに生きてきてまた師走
昔、こんな俳句をどこかで見た記憶があります。でも、今年の私は、その場しのぎには生きて来なかったという自負があります。
パソコン教室に通い、いろんな人に支えられてのことですが、夏にはこのホームページを開設しました。店主日記もここまで続けられ、なんとかホームページらしくなってきました。この齢にすれば上出来です。ちょと、自分を褒めたい気分です。
12月に入り、今年も残り1ヶ月を切りました。今年の暮れは、日々心楽しく、穏やかに過ごしたいと思います。走らない師走です。
2009年12月4日
福岡市早良区にある西南学院高校は、現在でこそ男女共学ですが、大正5年の創設以来、平成6年に共学になるまでは男子校でした。同校のホームページにもそう記されているようです。
しかし、以前にも女子生徒が在籍していた時期があります。現在はなくなっていますが、昭和27年に定時制高校(夜間部)が開設されました。実はその定時制が男女共学だったのです。
私は中学を卒業してすぐ西南学院で事務員として働き始めたのですが、夜間高校に通うつもりで、お隣の修猷館高校(定時制)の入学準備をしていました。そんな時、西南の夜間部主事の先生が、「西南の夜間を共学にすれば、勤務後そのまま教室に行ける」と急遽、2月に共学制導入を決定されました。
結局、その年の女子は私一人。昼も夜も男子生徒ばかりの環境でしたが、4年間通学。昭和31年に無事卒業することができました。つまり西南学院高校の初代女子卒業生は、私というわけです。何ともおおらかな時代の話ですが、本当の話。
蔦の絡まるレンガ造りの建物の中で働き、学んだ日々を懐かしく思い出します。
2009年12月4日
名所の紅葉も魅力的ですが、今は街中の街路樹がとてもきれいです。
イチョウの黄。朱色に染まった桜葉。けやきの紅葉。色鮮やかな葉が風に舞って、はらはらと道路に落ちる姿には、都会ならではの風情があります。バス停に立ち、そんな景色をぼんやり眺めているのが好きです。
かつての平和台球場の入口に立つ大きな木も、鮮やかな赤になりました。夏の間、一面の緑を楽しませてくれたお濠の蓮は、今では枯れ葉も綺麗に掃除されて、冬の日差しに水面がキラキラ光っています。
家がコース近くということもあって、毎年楽しみにしている福岡国際マラソンが近づいてきました。この時期になると沿道が整備され、練習する外国人選手の姿もちらほら目に付くようになってきます。
今年は、展示会のためお店に缶詰め。今年はビデオに録画して観戦します。
2009年11月29日
昔、育児と家事で手一杯で買い物に行く時間が取れなかった時期、ずいぶん御用聞きさんのお世話になったものです。実は、買い物に行く時間を読書に当てていたせいもあるのですが。
最近、良い食材が近くのスーパーで手に入りにくくなり、少々困っていました。そんな時に思い出したのが、宅配便という便利なシステム。品物を見ないでも安心して買える、信頼できるお店さえあれば昔の御用聞きさんの役目を果たしてもらえるのです。そこで早速、直方の西山商店(染め織りの西山さんの御実家)にお願いすることにしました。西山商店は昔から、高級料亭向けの食材を扱ってこられた店で、何もかも一級品。野菜、果物、漬物から味噌、醤油、お酒、乾物まで、昔の御用聞きさんと同じように、何からなにまで揃う有難いお店です。
みかんと安納芋。どちらもおいしく大満足しました。
2009年11月27日
子供の頃住んでいた旧満州の冬の寒さは今でも忘れられません。雪はそれほど多くはないのですが、とにかく気温の低さが日本とは比べ物になりません。11月に入ると零下30度にまで下がり、学校のグランドが一晩でスケートリンクになりました。
そんな土地での冬の楽しみは、なんといってもスケート。小学校の1年生から始め、休み時間には毎日、せっせと靴の刃を研いだものです。下級生の間は、本格的なスケート靴を履くことは許されません。一人前に滑れるようになって初めて本物のフィギュア用のスケート靴を買ってもらえます。
私が買ってもらえたのは小学五年生の春のことでした。その時の嬉しさといったらありません。一泊がけの買い物です。エッジの先にギザギザのある本物のシューズ。大喜びで、抱いて帰りました。
ところが、冬の訪れを待つこともなく終戦。念願のシューズは一度も氷の上に立つことなく、満州の地に置き去りにしてきました。
あれから65年。今、テレビで浅田真央さんやキム・ヨナさんの姿を目にするたびに、あの靴のことを思い出します。
2009年11月21日
毎朝5時40分に届く新聞(西日本新聞)。それを1時間かけて、ゆっくり読むのが朝の楽しみです。
今日は私の誕生日。どんな記事が出ているのかを楽しみに開きました。
いつもよりカラーの多い紙面の中に、「オリジナル洋服、小物販売、学生が手作りショツプ」という記事を見つけました。若い学生さんの、にこやかな笑顔の写真が目に入ってきました。
若い人たちのショップは、きっと成功することでしょう。繁盛して欲しいと思います。思えば私も今日まで、ずっとオリジナルの作品を大切に販売してきました。そんな私にとって、今朝の新聞記事は何よりの応援歌です。若い人たちからエールを頂いたようで、何よりのプレゼントとなりました。
24日から始まる展示会に向けて、最後の準備に追われています。もちろん今回も、ご紹介するのはオリジナルの作品ばかり。この世に一人しかいない自分のためのご褒美ならば、やはりオリジナルにこだわりたいものです。
2009年11月20日
50歳になる子供が、同窓会で帰福しました。
小学校の、それも1クラスだけの同窓会だというのに30人近くも集まったそうです。当時、PTAの役員を引き受け、自分の子供だけでなくクラス全員のことを気にかけていたこともあって、自分の同窓会のように嬉しく思いました。
担任の先生はお若く、とてもやる気に満ちた方でした。全体のレベルを上げ、その中で一人一人が伸びて欲しいと
、皆で声を合わせて歌う時間を大事にされていました。スポーツにも力を入れ、クラス対抗の大会でも常連だったそうです。ただ、その一方でお隣のクラスに比べ勉強が遅れがちになっていることを心配する声もありました。
でも、その答えは今日の同窓会で出たと思います。
先生に感謝。いい友達は人生の宝です。
2009年11月16日
美術の秋にふさわしく、見応えのある展覧会がいろいろと開催されています。
福岡市の美術館では、23日まで冨田渓仙展が開催されています。この展覧会は福岡市美術館開館30周年、福岡市制施行120周年の記念展です。
今から20年以上前、「冨田渓仙 京都画壇の異才」(裏辻憲道著)を読んで、京都の桜〈醍醐寺、仁和寺〉を見に行ったこと思い出しました。冨田渓仙の代表作「御室の桜」は当時、朝香宮家が買い上げていたものだと記憶しますが、それがいつ福岡市の所蔵になったのかなどと、色々思いを巡らせながら作品をゆっくりと鑑賞しました。
今回の記念展では、80年ぶりの里帰りの作品のほか120点の作品が展示されていますが。個性的な作風も手伝って、疲れを感じることもなく最後まで楽しく見ることができました。冨田渓仙の作品は個人蔵が多く、今後これだけの作品を一堂に集めることは難しいかもしれません。
新年に飾る色紙「宝船」を買い、美術館を後にしました。
2009年11月13日
11月に入り、今年最後の展示会の案内状を送る季節になりました。
今回のテーマは「冬を楽しく過ごす」です。「たきぐち」で常設展示させていただいている作家全員による力作を展示します。
お店で出す案内状は、出した数の一割程度の方が来店されたら、大成功だそうです。工芸品を扱うお店が閉店するという話をよく耳にしますが、「まだ元気でやっていますよ」とお伝えできればそれで十分。宛名のシールを貼りながら、お一人お一人のこと思い出すのも楽しいことです。
会いたくなったら、いつでも行って、昔と同じように話ができる。それがお店の大切な役割。同窓会の幹事のような気持ちに近いかもしれません。
せっかくお見えになった方には、来て良かったと思っていただけるよう、心を込めて準備をしています。
2009年11月11日
「工芸たきぐち」は日曜祝日と水曜日が休みなので連休になることも少なくありません。今月の連休は、家でゆっくり冬支度をして過ごしました。そんな時、たまたま点けたテレビで北アルプス登山の番組をやっていました。
昨今、中高年の方の間では登山がブームだそうです。休みも取れないサラリーマン生活を卒業して、楽しい毎日を過ごされている方も多いことと思います。
ずいぶん昔の話ですが、私も山登りをしていた時期があります。勤めがありましたので、日帰りか、せいぜい一泊での強行軍です。博多駅を0時23分に出発。鳥栖駅で久大線の始発(午前5時)に乗り換えて目的地近くの駅で途中下車。そこから徒歩での山行きです。
思い出深い山は、阿蘇〜根子岳の縦走。今思い出しても冷や汗が出そうな難コースでした。次に、由布岳~塚原~鶴見岳〈一泊二日〉。そして三番目が、九重山。年末、年始にかけて足元を照らしながらの登山でしたが、見事な雲海の下から上ってくる日の出を眺めながらウィスキーで乾杯した思い出は忘れられません。
登山に熱中したのは、足掛け五年くらいでしたが、青春時代、何ひとつ思うように過ごせなかった頃の楽しい思い出の一つです。
八月に発売された「水神」をやっと読むことができました。
『三たびの海峡』で第14回吉川英治文学新人賞、『閉鎖病棟』で第8回山本周五郎賞、『逃亡』で第10回柴田錬三郎賞と、数々の賞を受賞されている帚木蓬生さんの新作です。私の好きな作家さんのお一人で、福岡出身の方です。
以前、NHKの通信教育で、古文書について三年ほど勉強し、江戸時代の関東地方の庶民の生活については少し知識もありましたが、「水神」は福岡の話。なんといつても、筑後川と筑紫平野の景色はなじみの場所だけに、当時の姿が目に浮かんできそうでした。
作品に登場する人物〈百姓、商人、神官〉は、それぞれが、分をわきまえて一生懸命生きています。庄屋さんのご苦労や村人に対する思いには、上に立つ人はこうであって欲しいと思わされました。もう一人の登場人物、侍の身の処し方は、実に見事。感動しました。
読書が趣味で良かったと思いつつ、夜を徹して読ませていただきました。
2009年11月7日
最近、お客様から面白い本を貸していただきました。
「明治・大正 スクラッチノイズ」(柳沢慎一著/ウエッジ文庫)
永六輔さんの前書きによれば、「教科書に書かれているような歴史でなく、あくまでも雑音。これ一冊で100冊分の内容があるのです」とのこと。実際に読んでみると、まさにその通り。私の親世代に当たる、明治、大正時代の世の中のことが、まるで新聞を読んでいるように手に取るように分かり、一度でなく二度も読んでしまいました。
日頃から馴染みの歴史、時代小説だけでは内容が偏ってしまいがちで、この本のような面白さに出会うことは稀です。自分で選ぶだけでは、目配りが行き届きません。こんな面白い本も見逃すところでした。
読書が趣味と知っていただいたおかげで、新しい世界に出会うことができました。本に感謝。そして出会いを取り持っていただいた方に、感謝。
2009年10月31日
毎年、文化の日が近くなると、今年こそは宮尾登美子先生が文化勲章に選ばれるのではと心楽しみに待っていました。そして、ようやく今年、先生が文化功労者に選ばれたとのニュースを聞いて、早速お祝いの電話を。
1962年発表の「蓮」から、2008年の「錦」まで、全作品を読ませていただき、女性の生き方 美術工芸、伝統文化のことなど先生の本を通して学ばせていただいた事を数え上げればきりがありません。「宮尾大学の卒業生」と自認しています。
「文化勲章でないのが残念です」とお伝えすると、「それは最後の賞だから、まだまだいい作品を発表してから」と力強いお言葉。「貴女も、まだまだ頑張っていい仕事をしてください」と、逆に力強いエールを頂きました。
2009年10月28日
6月にホームページを開設して、早いものでもう5ヶ月。怖いもの知らずで書き続けた店主日記が40篇を超えました。
読んで頂いた方からの、お褒めや励ましの言葉で今日まで続けてこられました。褒めていただけるのは嬉しいものです。
異論反論もあるとは思いますが、ここに書いてきたのは、正真正銘、私自身の日々の思いです。今日まで「独断と偏見」それに加え「信念」で過ごさせて頂きましたが、私の力だけでないことも承知しています。
実は今日、占いをされる方から「あなたは、きっと周りの人に恵まれている」と言われました。とりも直さず、「あなた自身は大したことないのよ」と言われているのですが、否定のしようもありません。このホームページを続けるのに、いろんな方のお力をお借りしているのも事実。
一昨日、「店主日記」で紹介した銀杏(ギンナン)のお料理を頂きました。自分で銀杏を拾うこともせず、厄介な下ごしらえもせずに、とても美味しいお料理を頂きました。なんと恵まれていることでしょう。
その恩返しのためにも、心を込めてこの仕事を、今しばらく続けさせていただきます。
2009年10月27日
展示会が終わって一段落すると、案内のはがきをお送りしている方で、しばらくお会いしてない方のことが気にかかります。
今日、そんなお一人から電話をいただきました。遠くに旅立った愛犬の49日が過ぎ、やっと電話を掛ける元気が出たとのことでした。愛犬として可愛がるというより、むしろパートナーの役目を果たしてくれていだけに、心にぽっかり穴が空いたような気がするとのこと。お慰めする言葉が見つかりません。
楽しかった思い出が、心の穴にゆっくりとしみ込んで、暖かい気持ちで満たされる日が、一日も早く訪れることをお祈りするだけです。
お元気になられ、またお出かけいただけることを楽しみにお待ちしております。
2009年10月24日
秋の企画展が無事に終わりました。おかげさまで、たくさんお買い上げいたくことができました。
以前、大リーガーのイチローさんがテレビで「自分のコーチは自分」と話されていました。お店を経営するのも、似ていなくもありません。自分が好きなこと、正しいと思った方向に進んでいけばいいのですから、楽といえば楽なのです。でも、誰も何も言ってはくれません。流されないように気をつけなけばと思います。
今日は久々のお休み。楽しみにしていたマッサージに行きました。イチローさんと競争するつもりはありませんが、長く仕事を続けていくにためには、体のメンテナンスを欠かさないことが大事だと思いますj。展示会初日の特別な夕食でパワーをいただくことや、終了後のマッサージは大切な体のメンテナンスです。
マッサージの後は店内の模様替えです。明日から来てくださるお客様によろこんでいただけることを祈りつつ、心を込めて展示品の並べ替えをしました。
実はこのお仕事、お店が休みの日の方が何かと忙しいのです。
2009年10月21日
ホームページを開設したせいでしょうか。最近、若いお客様が来てくださるようになりました。
世の中には安い品物が出回り、100円ショップが大人気という時代に、なんとも得がたい方々です。
「物は人から買う」といわれますので責任重大。で、つい展示品の説明にも力が入ります。以前、「目で買う」というお話で、「お財布が空っぽでも、安心して楽しんで、目を養ってください」と書きました。でも、どうしても欲しいものに出会ったらどうするか?
私は、「一点豪華主義」をおすすめしています。年に一回、誕生日か結婚記念日などの機会に、自分にご褒美として頑張って良いものを買うのです。絵画でも、湯のみでも、身の回りに良いものが揃えるには、最低20年くらいはかかるものです。
20年後を楽しみに、いいお金の使い方を考えてみてください。たきぐちでは、金利なしの10回払いをしています。
あっ、ちょっと宣伝のようになってしまったようですね。
2009年10月19日
迎賓館が国宝になるというニュースを聞いて、35年くらい前にお友達の病気見舞いで東京に行った時のことを思い出しました。
東京在住の方から、「どこか行きたい所があればご案内します」といわれ、時間も無いことから、一度見てみたいと思っていた迎賓館に案内していただきました。「中には入れませんよ」と怪訝そうな顔で言われましたが、外からのたたずまいだけでも見ようと、門の前までいって記念写真を撮ったこと思い出します。
今回のニュースでは、上空から撮った全体像がよく分かる写真が新聞に掲載されていました。テレビでは建物の内部も見ることができて大満足です。二度と行くことはないと思いますが、思い出の場所が国宝になるとのことで幸せな気分にひたっています。
その時、近くに見えた赤レンガの建物も素敵でしたが、それが後年、子供が通うことになる大学とは夢にも思いませんでした。
2008年10月17日
10月に入ると私の好きなマラソン(長距離走)の季節が到来です。
12日(体育の日)の出雲全日本大学選抜駅伝からスタートして、1月1日の実業団(ニューイヤー駅伝)、2、3日の箱根駅伝と楽しみが続きます。何年も見ていると、中学で活躍してた人が高校、大学、実業団と進んでいく様子が分かり感慨深いものがあります。
マラソンの35キロは人生の70歳と思い、70歳を迎えた時には、「人生、これからが本番」と思ったものです。
12日の出雲全日本大学選抜駅伝は展示会の開催中で、リアルタイムで見ることはできませんでしたが、録画ビデオを届けてもらって見ました。果たして今年のシーズンは、どんなドラマを見せていただけるのでしょうか。今から楽しみです。
2009年10月14日
ガラス工房の高橋克典さんから、お支払いの領収書と一緒に見事なギンナンが届きました。
ギンナンは好きですが、お店で買った記憶はありません。見れば見るほど、立派なギンナンです。それも山ほど沢山の量。
ちょっと迷った末に、毎年この季節にギンナンご飯をご馳走してくださるNさんに電話。皮むきは大変とのことでしたが、皮むき器もあり、お手伝いしてくださる方もいらっしゃるということで、お送りすることにしました。
毎年ギンナンを買っていらっしゃるNさんも、今まで見たことないほど上等と褒めてくださいました。25日にはNさんのお宅でギンナンご飯と茶碗蒸しを頂くことになりました。今から楽しみです。
高橋さんの奥様のブログに一家でギンナン収穫の様子が出ていました。→
2009年10月11日
広辞苑で説明のために調べてみたら載っていませんでした。びっくりです。
陶磁器販売の仕事していたらごく当たり前の言葉なのに。
器は、どんなに大事に使っていても、割れたり欠けたりすることがあるものです。その時に、金継ぎという技術が必要になります。
たきぐちでお願いしている職人さんは、能登、輪島在住の方。普段は輪島塗を製作していらっしゃいます。金継ぎには金と漆を使用するのですが、これは輪島塗も一緒。本業の技を遺憾なく発揮していただいています。
割れないで使い続けられれば、それに越したことはありません。でも、金継ぎされた作品を見ると、割れる前よりも貫禄が出て、趣が深まったりするものですから、思いは複雑です。
以前、訪れた美術館に、破片をつなぎ合わせた抹茶碗が展示されていたことを思い出します。実は、二ヶ月前に金継ぎをお願いしていた器が届いて、その出来映えが見事だったものですから、こんな話を書かせていただきました。
2009年10月7日
展示会初日の夜は、準備無事整いスタートできたことに感謝しつつ、20日まで休まず営業するためのエネルギーを蓄えるため、ビールで乾杯。これは、昔からずっと続けてきた、展覧会初日の儀式です。
以前は焼肉と決めていましたが、今回は、ベトナム料理にしました。近くに、サイーゴンというお店を見つけて、一度食べてみたいと思っていました。
ベトナム美人のウェイトレスさんの接客と料理に満足。日本に居ながらにしてあちこちの美味しい料理が食べられるのは、なんと幸せなことでしょう。お隣さんにホームぺージの写真を写していただき、お礼にご馳走させていただきました。美味しい料理の上に若い人からのエネルギーも頂き、あとは来客の多いこと祈るだけです。
2009年10月6日
ちょっと古い言葉かもしれません。「インテリアコーデイネート」と言ったほうが伝わりそうです。
10月秋本番、たきぐちは秋の室礼をして5日からの展示会のお客様をお待ちすることにしました。夏中敷いていた、イグサの茣蓙を片付け、鍋島段通を敷き、バラのステンドグラスのスタンドを置きました。
鍋島段通と和食器の組み合わせは最高です。舞や能、お茶の世界だけでなく、一般の家庭でももっと使われるといいと思います。
昨今、食育のことが話題になっているようですが、最後はやはり場所(環境)です。和ロウソクとまでは言いませんが、せめて蛍光灯でなく、マグロのお刺身や顔色が美しく見える明かりの中での食事をしていただきたいものです。
2009年10月3日
「石の上にも三年」という言葉がありますが、それよりも心に響いた言葉が、この「10年一区切り、2年の必死」です。それ以来、10年日記を書き始めました。
15年を経た今になって、本当に納得です。2年間、あれこれ迷わず取り組むと、自然に何かが動きだしたようです。
大きなうねりの10年と、その後2年立ち止まり、反省すべきは反省し、前進しながら仕事を続けています。
先日の西日本新聞によると、創業100年を超す企業は九州、沖縄だけでも1721社あるそうです。100年は10年が10回、それぞれの会社は、そのつど2年の必死を経験されたことと思います。
竹に節があり、そこからぐんと伸びるように、会社もそうやって成長してきて今日があるのかもしれません。
小さなお店の中で、1700社の来し方を想像しているところです。
2009年10月1日
工芸たきぐちは毎年4回、春夏秋冬の季節合わせて展示会を開催しています。
展示会の準備は、まず作品の依頼。次に案内状の作製です。今年の案内状のデザインはテンペラ作家の日賀野兼一さんにお願いしました。春、夏に続いて、今回で3回目になりますが、毎回素晴らしい出来映えです。
この秋の展示会は、滝口和男さんと光石さんの器が中心。光石さんの器は秋草ともみじ,京焼き(仁清写し)は和菓子、会席料理にぴつたりです。
展示会に足を運んで下さるお客様に満足いただけるよう、あれこれと工夫をこらしています。
2009年9月18日
なんと響きのいい言葉でしょう。文字を見ただけでヒンヤリ感が伝わって来そうです。
この言葉で思い出す風景は、京都の銀閣寺のもみじ。色も形よく、良く手入れされた庭に散っているたたずまいの素晴らしさ。
全国いたる所にもみじの名所はあると思いますが、やはり、日本文化の粋(神社,佛閣)が今に残る京都のもみじは格別です。日本人の心の故郷がここにあります。京都の方々が保存のために大変な努力を重ね、それに応えるように全国の人々がこの地を訪れ、大事に大事に育まれてきたもみじです。
行きたい思いは募るものの、そうそう行けない京都。
今年の秋は、銀閣寺のもみじを器に現した作品を展示して楽しみたいと思います。
2009年9月17日
9月に入ると敬老の日が近くなり、いろいろの催事が始まります。今年は「友愛」を掲げる新政権のもと、老人医療、福祉に力が入りそうで、期待も大。
前々から70歳を過ぎると、体のあちこちが急に悪くなると聞いてはいましたが、これ程とは、想像もできませんでした。でもそんなことに負けてはいけないと思っていた矢先に出会ったこの句。
-心まで杖はつくまい老いの自負-
納得です。
明治生まれの亡き父を見習って、この先も、凛と生きて生きたいと思う今日このごろ。
2009年9月12日
博多の町は放生会になると袷(あわせ)の着物の出番。若い方には馴染みがないかもしれませんが、袷(あわせ)というのは、裏地のある和服のこと。裏地のないものは単衣(ひとえ)と呼びます。
子供の頃、虫干しの着物の下で鬼ごっこをしていた頃から、着物は大好きでした。宮尾登美子さんや立原正秋さんの小説を読みながら、四十になれば着ようと思っていました。女性の本当の魅力は、四十過ぎてからと思っていましたから。ところが現実は、あっという間に年月は過ぎ、着物に縁なく今日に至ってしまいました。
それはともかく、袷(あわせ)の季節は、美味しいものが出回る季節。器の出番到来です。
気持ちだけは,つむぎ、(紬)の着物をきて、店番を務めます。
2009年9月11日
昔、あるお宅に伺った時のことです。当時人気のケーキ、マドレーヌを染付の有田焼きの大皿に載せて出していただいたことがあります。その傍らには、金のフオークが立てられた真赤なブランデーグラス。
赤いブランデーグラスは、その後見たことがありません。染付けのお皿との組み合わせが、あまりに印象的だったので、今でもしっかりと目に焼きついています。器好きの方は使い方も素敵で、こんな和と洋の組み合わせもあるのかと、沢山勉強させていただきました。
お付き合いも途絶えてしまい、どう過ごされているか分からない方も多くなりましたが、色んなお宅の中で使われていた、さまざまな器に思いを馳せている日々です。仕事は大変なこともありますが、それ以上に人との出会いが、何にも替えがたい宝物です。
2009年9月7日
「開運!なんでも鑑定団」を毎回楽しみに見ながら、思っていたことがあります。
それは、「買える人」が、「買えるときに買って」、「次世代に伝える」ことの大切さです。
私自身は明治、大正を、贅沢に過ごした親から沢山良いものを教えてもらった世代です。そのお陰で、戦後の物不足の時が過ぎ、暮らしにわずかながらゆとりが出てきた時に、いいものを生活に取り入れようと思うことができました。
今の時代、器に限っていえば、割れてもすぐ同じものが手に入りやすい白の器を、若い人は好まれるようです。でも家庭は居酒屋やホテルではありません。少しは個性のある、上質のものを、親世代より受け継いで使っていただきたいと思います。
伝統文化(和食器)の灯が消えませんよう、切に願ってのこと。近所姑の一人ごとでした。
2009年9月5日
今度の選挙で変わるときは、思いきり変わるものだと思わされました。
初選挙(昭和29年)の時は、左派社会党の女性議員に投票。それから、何回も選挙はあったけど今回ほど強烈な変化を感じた選挙はありません。
政治、経済の世界はどんどん変わっているけれど、たきぐち取扱いの作家の皆様は世の動きに惑わされることなく、粛々と作品制作に励んでいらっしゃいます。
これから届く色々の作品を、お客様にお目に掛ける日を楽しみにしています。
五木寛之さんの言葉- 「今の時代、心の食べ物(文化)が必要」とのこと。ほんの少しいいものを、お届けすることでお役に立ちたいと思います。
2009年9月4日
工芸たきぐちさんのお隣の大西です。8月に2週間ほど北インドのラダック地方とカシミール地方へ行っていました。とても田舎でインフラがまだまだ整っておらず、不便な思いをすることもありましたが、とても良い経験をさせてもらいました。
ラダックではチベット仏教の僧院の数々を訪問し、カシミールでは壮大なダル湖での遊覧をしながら、ゆっくりとした時の流れを感じることが出来ました。地元の人々と触れ合うことも多く、自分を見つめなおす良い機会となりました。
カシミールではメディアで言われている危険さを感じることは全くなく、逆にとても平和に感じました。お隣さんへのお土産に白檀とローズのお香をお持ちしました。早速焚いて、インドの風を感じていただけているようです。
=本日の日記は、以前ご紹介した、お隣の(株)サラム モロッコの大西さんにお願いしました。遠いインドの大地の風が、たきぐちにも届いたようです。
2009年9月1日
「物を売って喜びを買う」 ー アルバイトが本職になりつつあった頃、この言葉に出会いました。当時、アメリカで車を売る苦労をされていたトヨタ自販社長の神谷さんの言葉で、「いいものを売らなければ、喜びは買えない」ということでした。
取扱う商品については、何を尋ねられても困らないように徹底的に勉強しました。その上で作家ご本人にお会いして、人となりを見極め,自信を持ってお客様にお薦めするように努めてきました。
たきぐちは、年間を通してバーゲンセールは行いません。心を込めて作った作品を値引きして売っては申し訳ないと思うからです。これからも作者とお客様の笑顔(喜び)を買うことを心がけたいと思います。
2009年8月28日
ベランダの朝顔が大輪の花をつけました。以前、この店主日記の「夏野菜」でお話したあの朝顔です。これで毎朝の楽しみがひとつ増えました。
種を下さった方にお礼の電話をしました。忙しい仕事を長年続けてこられ方ですが、今は静かな日々を楽しくお過ごしとのこと。
長らく仕事を続けていると、お客様の中にひとり暮らしの方が多くなってきました。
皆さん、家事に仕事にと全力投球で生きてこられた方ばかりです。その間に時間をかけて集た器や絵画に囲まれて元気にお過ごしのご様子です。「おかげさまで私設美術館に住んでいるような日々です」と喜んでくださる方も。きっと作品から受けるエネルギーが元気の源かもしれません。
お買い上げの上に、有難いお言葉をいただくと、何よりひとり暮らしの私が、元気に店を続けていけそうです。
2009年8月26日
西日本新聞の記事で「美野島めぐみの家」の活動を知りました。「家の温かさ届けたい」とボランテアの人が集まり、さまざまな支援活動をされているとのこと。活動には参加できないので、カンパをさせていただくことにしました。
昔、定時制の高校に通っていたとき、体育の先生が「明日の1万円より今日の千円」といわれたこと思い出します。苦労の多い日々を過ごしていた時だけに身につまされました。
ホームレスになった方には色々事情があるのでしょうが、今の時代のように、若い人が多いのはなんともやりきれません。「政治が」、「経済が」と、言いたいことはたくさんありますが、まずは、今日の食事のお手伝いを。
お店に、カンパ協力の箱を置きました。次の一歩が踏み出せるお手伝いが出来ればと、切に願いつつ。
2009年8月23日
長い休みが終わり、19日には押入れに休ませていた作品を出して展示の準備をしました。
まずは、壁面に飾る絵の準備。秋らしい絵と、更紗染の掛け軸には秋の句の短冊。「読み終えし一書の重み 秋の露」。ミニ色紙掛け軸には、「すすき、にコウロギ」の色紙。テーブルセンターも秋色に替えてみました。
展示品はガラス器を少し減らし、夏の間、展示していなかった作品を出しています。
さて、これで準備は万端。と思ったら、福岡は今日から猛暑なのだとか。ちょっと気持ちが先走ってしまったようです。冷房を効かせてお客様をお待ちするとしましょう。
2009年8月20日
たきぐちは12日〜19日まで夏休みに入ります。
パソコンは仕事用でお店にしか置いていませんので、この「店主日記」も、しばらくお休みさせていただきます。
もしお店が商店街にあったら、こんなにのんびり夏休みという訳にはいかないかもしれません。こんなところも、ビルの7階の一室で人の目に触れない場所というのが幸いしています。
毎年のことですが、夏休み期間中は展示作品にも休んでもらいます。ずっとお客様に見られることで、疲れているかもしれませんから、すべて一旦、押入れにしまいます。ゆっくり生気を養ってもらって、また秋に再登場。
「休みは旅行ですか?」と聞かれますが、どこにも行きません。お盆の行事と、韓国のドラマをまとめてみるのを楽しみに、静かに過ごします。
2009年8月10日
たきぐちは、茶道具専門店ではありませんが、個人的に好きなので、陶器、漆器、ガラスなどの茶道具も扱っています。
伝統工芸の代表格ともいえるお茶の道具には、すばらしいものが沢山あります。それを日常の生活で使っていただきたいと思っています。香炉、香合、花入れなどは、床の間のないマンションでも、工夫次第で置く場所はきっと見つかるものです。
抹茶碗にしても、「茶せんで抹茶を、、、」と堅苦しく考えずに、普通の煎茶をいただく時にも使ってみてください。煎茶を注いだ抹茶碗に和菓子を添えてみると、いつもと違った味わいが楽しめるはずです。不思議なことに、お手前の真似事のように、つい器を廻して眺めてみたくなります。
もし、眠っている抹茶碗をお持ちでしたら、もっと使って、使い込み味のある抹茶碗に仕上げてみてください。以前、「人は物に育てられる」と書きましたが、道具も同じこと。使ってあげることで、さらにその良さが引き出されるのです。
2009年8月8日
「この秋は 雨か嵐か知らねども 今日のつとめの田草とるなり」(二宮尊徳)
いたずらに先の事を心配しても始まらない。今やるべきことをしっかりやりましょう。年の初めに心に刻む言葉です。
今年の福岡は、梅雨が明けたと思ったら7月の長雨、大雨、大洪水。8月に入っても、梅雨が続いているのかしらんと思えるような日々が続いています。そんなこともあって、客足もちょっと湿りがち。でも、インターネットの世界に天候不順は関係ないらしく、ホームページに「ご来店」いただいた方から、励ましのお電話をいただきました。もっとお店の雰囲気がお伝えできるよう、充実させていきたいと思っています。これもまた「今日のつとめの田草とるなり」。
秋本番が「雨か嵐か知らねども」、たくさんのお客様にご来店いただけることを心待ちにしております。
2009年8月6日
幸田真音さんの最新作「舶来屋」に登場する主人公は、戦時中に天津の町で出会った西洋の高級品に感動、感激した経験が商いの原点になっています。西洋と日本、洋と和の違いはあるものの、美しい日本の景色や工芸品に出会って感激したことが私の仕事の原点です。そして、「もの」を売るのではなく「文化」を売るという気持ちで今日までお店を続けてきました。
仕事を始めた頃は、日本人なのに日本の良いものに興味を示さず、舶来品ばかりを追いかけている人たちのことが理解できずにいました。「舶来屋」の主人公のモデルになった方によれば、これからは日本の工芸品に目が向けられるとのこと。良いものがだんだん少なくなってきて、「この先、日本の文化はどうなるのか」と小さなお店でやきもきしていましたが、この本を読んで、霧が晴れ、光が差し込んできた思いがしています。
大きな力ある売り手の出現と、幸田さんの続編を楽しみに待っています。
2009年8月4日
今、店に、ミニ盆栽が5鉢あります。昨年10月企画展の際、島津拓哉(苔人)さんの展示品の中から買い上げたものです。ミニサイズでも力があり、器と一緒に置いて邪魔にならず、器を引き立ててくれる有難いものです。生き物ですから、手入れは欠かせません。水やりをしたり、テラスに出して日に当てたりと、毎日、気持ちを込めて大切に世話をしています。
盆栽といえば、昔お邪魔していたお二人の会社社長のお宅のことが思い出されます。めったにお伺いしないのですが、行くと、どちらの社長さんも、必ず盆栽のお手入れ中。ゆったりとした時間の中で、お話を聞かせていただきながら、いつか私も社長になりたいと思ったことを思い出します。
そのお二方はもう他界されてしまいましたが、三十年後の今、私も社長業の大変さが理解できる年齢になりました。
2009年8月1日
たきぐちのお客様は、皆さんお料理上手。
料理の腕がなければ「器が泣く」とばかりに、1時間以上かけて会席料理の先生にお料理を習いに行かれた方々もいらっしゃいます。
美味しい料理を作ろうと思ったら、本物の料理を食べて舌を肥やすのが一番。外で覚えた味を家庭向きにアレンジした料理が最高の贅沢だと思います。美味しい料理を通して、家族に愛情を伝えて欲しいものです。
子供が大きくなって会話がなくなっても、毎日使った器と料理を思い出してもらえたら幸せではないでしょうか。
2009年7月31日
ずいぶん昔のことですが、何気なく見ていたテレビの画面に京都の料亭の朝食が映し出されていました。そこにあったのは錫(すず)の小皿。細かく刻んだ漬け物三種が盛られていました。
錫の器といえば、茶筒、茶托、ちろり(お酒を暖めるのに用います)しか知らなかったのですが、ある時、滝口さんに相談したところ、錫の器も送っていただけることになりました。今から10年ほど前の話です。これまでに、いろんな形の錫の器を送っていただきました。
錫は、銀や銅と違って、変色もなく傷つきにくいので、扱いがとても楽です。トマト、刺身、果物などを盛りつけ、そのまま冷蔵庫に入れておきます。ひんやりとした錫の器のおかげで、お料理がいつまでも冷たくいただけます。
暑い夏の食卓に、涼やかな風を運んでくれる錫のお皿。ぜひ、お使いいただきたい器です。
取扱い品=小泉 均 作 滝口和男 デザイン
2009年7月29日
「目で買う」という言葉をご存知ですか?
これは特に若い方にお伝えしたい言葉です。良い物は人を育てます。しかし、良いものは、それなりの値段がします。そこでお勧めしたいのが「目で買う」です。これならお財布が空っぽでも、安心して楽しめます。
まずは、良いものが売られている店を見つけて下さい。だらしない格好のシャツやサンダルでは、お店の方や商品にも失礼になりますから、身だしなみにはくれぐれも気をつけて。勇気を出して入店したら、まず「見せて下さい」と一言断ります。買えないからと卑屈にならず、自分を鍛えるのだと気合いを入れて、しっかり、一つ一つの品を見て下さい。目で買うのですから、値段を気にする必要はありません。そして、気に入ったものが見つかったら、その商品をしっかり「褒めて」あげてください。最後に、「宝くじに当たったら買いに来ます」と伝えてお店を後にしてください。
お店の人が迷惑がる、と思われますか? いえいえ、お客様に褒められた品は、不思議と輝きを増し、早々に売れてしまうことから、お店側は「福の神」と思っているのです。遠慮せずに、「目で買う」練習を続けてみて下さい。きっと、10年後に本当に買えるようになった時、良かったと思えるはずです。「目で買う」だけでも、良い品は人を育ててくれます。
2009年7月28日
子供の頃、春夏秋冬、普段とハレの日(よそ行き)用の帽子を持っていました。オシャレな母のお陰か、外地に住む日本人の見栄だつたのか...
ある日、何気なく新聞を見るていると、そこに「天神サークル」の帽子教室の夜間部開設のお知らせを見つけました。お気に入りの帽子が売られていなかったことから早速、申し込むことに。夕食を用意して小さな子供を知人に預け、週一回の教室に一年間通いました。なんとか気に入った帽子が作れるようになりましたが、材料費その他で出費がかさみ、教室通いを続けるためにアルバイトを始めることにしました。
そのアルバイトが器販売。この仕事での魅力的な人との出会いに魅せられ、いつの間にか帽子作りとはすっかり疎遠になってしまいました。
アルバイトが本職になって久しくなります。
2009年7月26日
「工芸たきぐち」は、日本の工芸品だけ売る店なのですが、窓辺の棚に「砂漠のバラ」が飾ってあります。「砂漠のバラ」とは、バラの花びらのような形に結晶した鉱物です。
ある時、エレベーターの前で出会った若い女性が、お隣のモロッコ専門の企画会社の社長さんでした。モロッコは昔から好きな国で、砂漠のバラのことを知って、いつか本物を見てみたいと思っていました。そこでその話をすると、「今度ツアーで行った時にお土産に持ってきます」と言われ、戴いたものです。ビルの7階にじっと座っているのに、モロッコの砂漠のバラが手に入るなんて幸せなことだと、楽しんで眺めています。
実は今、私のパソコンの先生をしていただいているのもその方です。企画会社なのでパソコンはお手のもの。週二回、お隣から来てくださって大助かり。
隣人に恵まれることは、宝くじに当たったみたいで、本当にうれしいものです。
会社のホームページはこちら。(株)サラム モロッコ
2009年7月23日
和食は、器=70、材料=20、腕前=10ともいわれます。なれば、料理の仕上げの器に凝るのも、おいしい料理を作るための手順の一つ。けっして贅沢なことではないと思います。美的センスやものを見る目も、毎日使う器によって鍛えられるのではないでしょうか。私自身は、「立派な家を建てる力がないなら、せめて毎日使う器ぐらい上等なものを」と考えて今日まで来ました。
器をそろえる楽しさを知り、季節ごとに趣きの異なる器を楽しめる日本に住んでいることに感謝しつつ、一人でも多くの方にその喜びを知って頂きたいと仕事を続けています。
そういえば最近「婚活」という言葉をよく耳にします。「婚活」でいちばん大切なのは、やはり「人を見る目」。毎日の器で、しっかり見る目を養って、「婚活」に励んでいただきたいものです。
2009年7月20日
「工芸たきぐち」はビルの7階にあるため、来客のない時は絶好の読書空間となります。読書が趣味ですから、店番をしながら読んだ本は数えきれません。長編が好きで、宮尾登美子さん、北方謙三さん、宮城谷昌光さん、塩野七生さんなどの作品を読んでいました。
ところが店主日記を始めてからは、「書く」ことの勉強にと、吉本ばななさんのエッセイ集を読むようになりました。受験生ではありませんが「傾向と対策」を研究しようというわけです。趣味の読書とともに、これからは「脳の若返り」も期待しつつ、「書く」ことも楽しみたいと思います。
2009年7月19日
夕食の献立を考えるより前に、そもそも、食材(正確にいえば「食料」ですね)、をどうやって手に入れるかが最大の問題という時代がありました。もちろん、昔のことですが、私にはそれほど遠い過去の話ではありません。
先日、お皿をお買い上げいただいたお客様が、お店にお見えになりました。「使っていただいてますか」とお尋ねしたところ、「まだです」とのご返事。
それを聞いて思い出しました。このお客様は、買った器を初めて使う「初おろし」で、どんなお料理を盛ろうかと考えるのを、とても楽しみにされていました。今から20年ほど前、たきぐちの大鉢をお買い求めになった時には、その大鉢にシャコを大盛りにして出されたそうです。初おろしの料理を考えるのは、日々の献立を考えるのにも増して楽しいことです。
「工芸たきぐち」で扱う器は、日々の暮らしの中で、日常的に使っていただきたいものばかり。使い方を考えるお客様も楽しいでしょうが、買っていただいたお皿も、その日を楽しみに待っていることでしょう。
今回はどんな料理になったのでしょうか。今度、お見えになった時に、是非お聞きしたいと思います。
2009年7月17日
山笠も終わり、博多に本格的夏の到来。
テンペラ作家・日賀野兼一さんの新作展「夏の風物と花展」の作品がお店に届きました。
日賀野さんとの出会いは1994年のこと。第1回「谷尾美術館大賞展」で大賞を受賞された直後に、開かれた個展で初めてお会いしました。日本人作家によるテンペラ画は、それ自体がとても珍しかったのですが、何よりそれまで見たこともない色や構図にとても感心しました。特にキリッとした、細く力強いサインが気に入って、「作者の方にぜひお会いしたい」とお願いしたところ、すぐ後ろに立っていらっしゃった大学生ような方が日賀野さんでした。
その場で、「たきぐち」への出展をお願いしました。
以来今日まで、たくさんのファンの方に喜んでいただいてます。
「夏の風物と花展」は20日スタートです。「スイカと花火」は、どちらのお宅に飾っていただけるのでしょう。今からとても楽しみです。
日賀野さんの過去の作品は、こちらでもご紹介しています。→→
2009年7月15日
もう随分昔のことになりますが、ケーキ作りを習いに通っていた時期があります。道具もしっかり買いそろえましたが、結局、仕事が忙しくて、家では子どもたちの誕生ケーキを焼くのが精一杯。せっかく習ったレシピを披露するチャンスはありませんでした。
それでも当時は、歳を取って暇になった時、ケーキ作りが得意だと、孫や若い人たちが遊びに来てくれて、にぎやかに過ごせるだろうと、教室通いだけは続け、レシピの数も随分増えました。
それから幾星霜。
おかげさまで忙しい日々は変わることなく、どうやら「ケーキ作りを楽しむ、ゆとりの老後」計画は夢物語に終わりそうです。
今も手元に残る手書きレシピ集の中には、幻のケーキたちが眠っています。
2009年7月10日
街中で暮らしていると、美味しいトマトやキュウリなどの夏野菜が手に入りません。
お店で買えないなら、いっそ自分で作ってみようと一念発起。この春、日当りのいい部屋に引っ越したのを機に、ベランダ菜園を始めてみました。
プランター、苗、培養土、肥料など一式そろえて計8,000円也。苗が育ち、花が咲き、キュウリの実が5センチほどに育つのを、毎日、楽しみに眺めては、せっせと世話をしていました。まずはサラダで、いや塩もみであっさり、などと考えている矢先のこと。ある日突然、成長がストップ。そのまま枯れてしまいました。原因は今も分かりません。
ちょっとした思い付きだけで、簡単に事が運ばないことぐらい、先刻承知のはずですが、「思いついたら、まず行動」。この性格ばかりは何歳になっても変えられないようです。
キュウリを収穫するはずだったプランターには今、朝顔がツルを伸ばしています。
2009年7月6日
滝口和男さんの器を福岡の人に見ていただきたく、無理なお願いして、たきぐち福岡店を開店して25年。その間、滝口さんは、素晴らしい作品を次々に送ってくださいました。
そのおかげで、食道楽(器道楽)の方が多い福岡で、今日まで仕事を続けてこれたのだと思います。滝口さんの器は、1点物だけに、多分、日本一高いとおもわれますが、お客様に頑張って、買って、使いつづけていただいての今日の日と思います。
ただただ 感謝です。
ホームページを開くにあたり、たくさんの方に、今の時代このような店(高額商品のみ)が福岡に存在していることをぜひ知っていただきたいと思っています。
滝口さんのほかの作品は、みな滝口さんの作品に負けない良いものばかりです。
器 = 人を磨く道具
いい出会いを楽しみに。
2009年7月5日
「芸術家を育てて、作品からエネルギー(元気)をもらおう」
日本がバブル景気に浮かれていた時代、「メセナ、メセナ」の大合唱がありました。メセナ(mecenat)とは、企業による文化・芸術活動に対する支援活動。今、その声はどこに行ったのでしょう?
芸術家を育てるのであれば、1個でも作品を買って、作家を応援することだと私は考えています。
現代は、(美術館で)観る人、(サークル活動で)作る人、ばかりが増え、街には中途半端なものがあふれています。とても残念です。
作家の方は、不況の時代にあっても、逆風に負けず、高いところを目指して頑張ってください。作品を購入される方は、「本物が安く手に入ることはない」と心していただければと思います。
2009年7月4日
以前読んだ神崎房子さんの著書の中に、「私のスポンサーは神様です」と書かれていました。
「神様をスポンサーにするには、神様に喜んでいただくこと。それは、自分以外の人の幸せのお手伝いをすることです」とありました。その時から、少しずつですが、「人の幸せのお手伝い」を心がけてきたつもりです。
こんな話をするのも、実はこのお店には、時折「神様からの使者」としか思えない方がお見えになることがあるからです。
「工芸たきぐち」は、ビルの7階にあります。ビルの前には看板もなく、通りがかりに気軽に訪ねていただけるような所ではありません。ところが、そんなお店に、一人静かに入って来られ、一生懸命に作品を眺め、欲しい作品を決めて、「これください」とただ一言。支払いを済ませると、また静かにお帰りになる、そんなお客様がいらっしゃるのです。
特に資金繰りで頭を悩ませている時にこんなことがあると、仕事を続ける元気と勇気が出てきます。
2009年7月3日
パソコン教室に通い始めたのは、今から1年3カ月ほど前のことでした。
「工芸たきぐち」では、特に広告を出すようなことはせす、昔からのお馴染みのお客様にご案内の葉書を送らせていただいておりました。ところが、ここ数年、インターネットで滝口さんの作品が福岡にもあることを知ってご来店されるお客様の増えてきたこともあり、ここは「一念発起」とパソコン教室に通い始めました。
「老骨にむち打つ」といっては大げさですが、機械オンチで携帯電話も持たない私が、この歳になってパソコンを始めるのは、本当に大変なことでした。でも「母の日」にパソコンをプレゼントされたこともあり、途中で投げ出すわけにもいかずに、「やれば、できる」といい聞かせながら、こつこつと教室通いを続けてきました。
今回、ようやく、念願のホームページをオープンするところまでこぎつけました。
教室の先生や力を貸していただいた皆様に心から感謝です。これからも、ご案内葉書を作るのと同じ気持ちで、このホームページを更新していこうと思っています。「老骨」に、むち打ちながら。
2009年7月1日
ビールの美味しい季節になりました。
器を売る仕事を始めたのは、今から40年ほど前のことです。その理由の一つが、「自分で稼いだお金で、ビールを飲みたい」ということでした。当時、ビールを買うのは相当贅沢なことで、ましてや、苦しい家計をやりくりする中で、自分が飲みたいからと、勝手に買えるものではありませんでした。
仕事を始めた当初は、商品を抱えてお宅を訪問するスタイルでしたが、幸いにも仕事は軌道に乗り、毎週土曜日には、キリンビールの中瓶を胸躍らせて飲めるようになりました。
以来、今日まで、余程のことがないかぎり、ビール(=キリンビール)を欠かしたことはありません。昔は「海外にはキリンがなく、キンキンに冷えたビールもない」と聞かされていたので、海外旅行とも無縁でした。(もっとも今では、世界中の大都市で冷えたキリンビールが飲めるそうですね。)
後期高齢者に仲間入りしましたが、今も元気に仕事を続けられているのは、ビールのお陰かもしれません。
カガミクリスタルのグラスや高橋克典さんの「花吹雪」のグラスなどを愛用しています。
2009年6月30日
1946年のこの日。満洲から引き揚げ、舞鶴港にたどり着きました。
梅雨の中、舞鶴湾に停泊すること一週間。箱庭で親しんでいた日本の風景。その本物が港の先に広がっていました。上陸した場所には、竹林が広がり、その傍らに咲くアジサイの上には、雨が音もなく降っていました。
長く、苦労の多かった満州での日々。その果てに出会った日本の梅雨とアジサイに心癒されて、日本は、なんといい所かと感じたことを、つい先日のことのように思い出します。
お店に飾った竹とアジサイのスタンドは、そのときの思いを形にしたものです。
ステンドグラスは、長坂一子さんの作品です。
2009年6月25日
滝口和男さんの器を福岡の人に見ていただきたく、無理なお願いして、たきぐち福岡店を開店25年、その間、滝口さんは、素晴らしい作品を次々送ってくださいました。
そのことが食道楽 (器道楽)の方が多い福岡で、今日まで続けてこれたのだと思います。また滝口さんの器は、1点物だけに、多分、日本一高いと思われますが、お客様に「頑張って買って、使い続けて」いただいての今日の日と思います。
ただただ 感謝です。
ホームページを開くにあたり、たくさんの方に、今の時代、このような店(高額商品のみ)が福岡に存在していることをぜひ知っていただきたいと思っています。
他の作家の皆さんの作品も、滝口さんの作品に負けない良いものばかりです。
器 = 人を磨く道具 いい出会いを楽しみに、
2009年6月
店主敬白
工芸たきぐち 店主日記